もうひとつの倫理

キャロル・ギリガンの『もうひとつの声』を読んでるんですが、女子の『成功不安』*1について気になる一文が。

(成功するということに対して)女性が示す葛藤は、「競争によって得られた成功の“裏側”、つまり競争を経て得られる成功がしばしば要求する大きな感情的代償についての高度な知覚──成功とは他のだれよりもよい成績をおさめることと定義される状況にはなにか邪悪なものがあるという潜在意識を、はっきりとではないが示しているある種の理解」を示すものだ
(p19)(太字強調、()による補足は私。「」内はジョージア・サッセンからの引用)

「邪悪」! なんかすごいわかる気がする!(<共感を用いた「女性的」アプローチ…) ただし、恋愛がらみなんかでは、この邪悪さが逆に発揮されるシーンを私は何度か見ているなあ。
進化心理学では、ヒトの倫理について進化的説明をしているけど、性差ってどう解釈されているんだろうか。性差の原因をどこに求めるかはさておき、おかれている状況(性)によって良しとする倫理が異なる(人間関係における最優先事項が異なる)というのは、ありそうなことだ。

*1:従来の解釈では「男性と対抗して成功が達成された場合、社会的に拒否されるという脅威や、女らしさを失うことなどといったマイナスの結果を連想させる」ことで生じると解釈されてる。これに対してギリガンはこの本で「もうひとつの声」(別の倫理観)があるのだ、として主張してる