本質主義フェミニズム

本質主義フェミニズム essentialist feminism
女性は生物学的に男性とは異なる、とする立場。視空間認知や言語能力、攻撃性、などの行動形質や、生理的・心理的形質には、胎児期、および、思春期のホルモン暴露によって生物学的な性差が生じている、と主張する。


■18〜19世紀に流行
19世紀には「女性は生物学的にみて身体的・精神的に男性よりおとっている部分があるが、逆に生物学的にすぐれている部分もある」とした。例)婦人参政権論者が「女性の方が本質的にモラルが高い」ということを根拠に、投票権獲得を主張した。


■現代のフェミニズムは、初期には本質主義フェミニズムに反対。
特に、ウィルソン(1975)トリバース(1972)ドーキンス(1976)が「女を家に閉じ込め、仕事場から排除したい保守派のツールになってる」と批判をあびた。


■しかし、最近はラディカルな見直しが進んでいる。
生物学的な違いは、女性がある領域で優れているということを示している、という立場からの見直し。

フェミの生物学批判で一番よく聞くのがこれ。本質主義→生物学決定論還元論ってことで批判されるのだけど、どこまでが「本質主義」なのか、微妙な気がする。
行動生態学はもちろん行動に遺伝的基盤があると仮定しているけど、その発現には環境要因もかかわってくる。逆に、実存主義フェミニズム精神分析フェミニズムの考えも、究極的には「経験」「育ち」に還元されるわけで、文化本質主義とか言われるものになってしまう。