フェミニストJAPAN

ウーマンリブからフェミニズムに以降しつつあった1970年代後期、『フェミニスト JAPAN』というあからさまな名前の雑誌が刊行されていたのを知っている人は少ないだろう。私はいろいろ検索している中で発見したのだけど、みつけた時は「はあ〜〜?なんじゃこれ」と、大爆笑してしまった。タイトルだけでなく、発行者名もずばり「フェミニスト」。それ誰よ、とツッコミを入れたうえで編集陣をみると、編集責任者は渥美育子さん*1、創設委員には松井やよりさん、水田宗子さん、カメラ担当が松本路子さんと有名な名前がならんでいる。なのに、なんであんまり知られていないのか。

フェミニストJAPANは、創刊号が1977年8月15日に出版された後、1980年までに全17号が出版されている(私は16号までしか持ってない)。リブの有名な雑誌『女・エロス』は1号(1973.11.28)〜17号(1982.6.25)までなので、後半で重なってたようである。

1号(1977)は、表紙がオノヨーコという、これまたベタな作りで、「ザ・フェミニストって感じの雑誌作ろうゼ!」と盛り上がっていたであろうことは容易に想像できる(そうか?)。…と、ちょっと冗談ぽく書いているけれど、こういうの、意外と好きなんです。いろいろな点で引っかかりつつも、内容上の必要性には賛同するし、個人的にミニコミ好き、機関誌好きというのもあるので「フェミニストJAPAN」はもっと注目されてしかるべき雑誌だと思っている。

思っているのだけど、最近、この雑誌をチェックしていて、驚愕する文章に出会ったのでここに記します。まず巻頭。ここには次のような宣言が掲載されている。

燃えるように
エネルギーを燃焼させて
各国の自立する女たちと
宇宙船“Sisterhood”号に乗ってから
わたしには地球のゆがみが見えるようになった

もっとよく見たい わたし自身の目で
影になっていた半球も
これはわたし達の出発!
靴下は破れていても
わたし達は美しい
(「フェミニストJAPAN」1号(1977)、表紙裏より抜粋)

うん、わかる。私のセンスではないけれど、こういうのもありだ。そして本文を読んで、最後に編集後記。その最後の段落がこれ。

■最近読んだものの中で、感動することばがあった。「女性的な女性にあって最も美しいものは、男性的な何かである。」
(「フェミニストJAPAN」1号(1977)、p64)

が〜〜ん! 宇宙船シスターフッド号に乗ってんのに男性的ななにかが一番美しいとか言うんすか! 影になってる半球、ぜんぜん見てねーよ!! うわ〜〜…。

ほんとに今の時代は、30年前よりも確実に良くなっているのですね。フェミニストジャパンはいろんな意味でおもしろいので、引き続きお伝えしていきます(たぶん)。

*1:現在はでっかい国際企業の社長。経歴は ここで読める