日本のサル学とフェミ霊長類学

フェミ+科学を論じるとき、グドール、フォッシー、ガルディカスの霊長類研究三姉妹*1のサル研究が必ずとりあげられる。3人ともフィールドで長年生活し、対象種と超仲良しになって、それまであまり注目されてなかったメスの行動に(も)焦点をあて、霊長類学に革命をおこした。なぜこんな重要な研究ができたのか、を説明する際、「女性ならではの視点」が強調される。
 ただ、私がざっと文献をみた感じでは、ここで言われている「女性の視点」は「共感」とか「メスを観察した」ということに集約されるようだ。これをめぐり、フェミ諸派はこう説明する。

  • 成長の過程で身につけた女子ジェンダーは、他者への「共感」を可能にしている。「女性にとってはメスに共感する方が(オスに共感するよりも)容易い」【精神分析フェミニズム
  • 男性中心的な社会によって他者とされている「女性」は、「男性」とは異なる経験をしてきたから、女ジェンダーを持つものはオスよりメス中心の興味を持ちやすい。【実存主義フェミニズム
  • 女性は言語能力ー関係性をつくる能力に秀でている(脳の側性化の性差に由来する)ので。【本質主義フェミニズム

こんな感じ。

一方で、日本のサル学も、サルに名前をつけたり擬人化したりする手法から、画期的な結果を導き出してきた(たしか)。対象との距離の取り方や、「客観性」をどこまで重んじるか、といった点などがこれまでの西欧中心的な科学の方法論と異なっている。これらは、上記のフェミ解釈と、似てる点が多い。
でも日本の霊長類学界隈はフェミじゃないんだよね。

*1:エンジェルスって書いてある文献も見た。ルイス・リーキー(3人の指導教官)ズ・エンジェルズですか…。ってむっちゃ従来の枠から出てないやん!